【P】

Peter Gabriel

Peter GabrielPeter Gabriel(I:Car)(1977)
01 Moribird the Burgermeister
02 Solsbury Hill
03 Modern Love
04 Excuse Me
05 Humdrum
06 Slowburn
07 Waiting for the Big One
08 Down the Dolce Vita
09 Here Comes the Flood
 1974年にGenesisを脱退した後のソロ第1作。第4作までのソロ作品は、本人の(結構面倒臭い)意向によりタイトルがどれも単に"Peter Gabriel"としかなっていないため、便宜上"Peter Gabriel I"もしくはジャケット写真から"Car"と呼ばれる作品。Rock Musicという制約を逃れて、とにかくあらゆるタイプの音楽に挑戦する意欲に溢れた作品。オーケストラ風あり、ブルース風あり、映画音楽風フルオーケストラあり、という密度の濃いものに仕上がっている。ソロ第5作、"So"のヒットによって独自のスタイルが確立される以前の、試行錯誤の過程がここにある。King Crimson解散期のRobert Frippがギターとバンジョー(!)で参加しているのも見逃せない。なお、Here Comes the Floodにはバージョンが複数存在するのも特徴だろう。コーラスとパイプオルガン風キーボードによって壮大な広がりを見せる本バージョンの他、Robert Frippのソロアルバム"Exposure"に収録されたピアノとギターのテープ・ループのみのシンプルなバージョン、そしてベストアルバムHitに収められた、ピアノと抑えぎみのシンセサイザーをバックに歌うバージョン。歌うスタイルもすべて異なっていて、聴き比べるのも興味深い。


Pink Floyd

Pink FloydAtom Heart Mother(1970)
【原子心母】
01 Atom Heart Mother/原子心母
     (a)Father's Shout/父の叫び
     (b)Breast Milky/ミルクたっぷりの乳房
     (c)Mother Four
     (d)Funky Drug/むかつくばかりのこやし
     (e)Mind Your Throats Please/喉に気をつけて
     (f)Remergence/再現
02 If/もしも
03 Summer'68
04 Fat Old Sun/デブでよろよろの太陽
05 Alan's Psychedelic Breakfast
     (a)Rise and Shine
     (b)Sunny Side up
     (c)Morning Glory
 とにかく23分余りに及ぶタイトル曲Atom Heart Motherに圧倒される。ギターが右に、ドラムが左に振り分けられた定位の中央でオーケストラがメロディを奏で、多様な効果音が縦横無尽に駆け巡る。スチールギターが使われたかと思えばコーラスに切り替わるという、ジャンルも何も意味がない音空間の演出によって、土の臭いや日差しの暖かさ、そよ風の心地よさが表現されている。特に14分27秒前後からはどこにもつけいる隙がない。その他の曲も名品揃いである。「原子心母」という邦訳も素晴らしい。

Pink FloydMeddle(1971)
【おせっかい】
01.One of These Days/吹けよ風、呼べよ嵐
02.A Pillow of Winds
03.Fearless
04.San Tropez
05.Seamus/シーマスのブルース
06.Echoes
 幾つかの、比較的のどかな小曲を、不穏な雰囲気を持つインストゥルメンタルOne of These Daysと、23分の大曲Echoesで挟んだ形式のアルバム。印象的なベースのリフと風のSEを背景に、ギターが縦横無尽に駆け巡るOne of These Daysも勿論だが、何と言っても前作“Atom Heart Mother”のアイデアを継承しつつ、後のShine on You Crazy Diamondへと、そのコンセプトが引き継がれていくEchoesに尽きる。「耳」のジャケット写真も印象的である。自閉的なコミュニケーション。

Pink FloydThe Darkside of the Moon(1973)
【狂気】
01.Speak to Me
02.Breathe/生命の息吹き
03.On the Run/走り回って
04.Time
05.The Great Gig in the Sky/虚空のスキャット
06.Money
07.Us and Them
08.Any Colour You Like/望みの色を
09.Brain Damage/狂人は心に
10.Eclipce/狂気日食

(※ジャケット写真は2003年デジタル・リマスター版CD/SACDハイブリッド・ディスクのもので、オリジナルとはバージョンが異なる)
 モンスターアルバム。心臓の鼓動、時計のベル、コインが触れ合う音など、それまでFloydが試みてきたSEと曲の融合がここに至って芸術の領域に達し、SEを聴けばメロディが想起され、メロディを聴けばSEを思い浮かべる。“Atom Heart Mother”“Meddle”ほど大仰でもなく、かといって平板な作りではないどころか曲はバラエティに富む。しかもアルバムのハイライトは女声スキャットによって展開するThe Great Gig in the Skyであり、そしてまた、Us and ThemからEclipceまで途切れることなく流れ、やがてクライマックスに到る――聞き始めたら必ず最後まで聞き続けざるを得ない――一連の過程である。描かれたのは人間である。社会と経済、そして何より国家によって翻弄され、狂気へと陥ってゆく人間である。ということは後の“The Wall”のテーマがより抽象化された形でここに存在するわけだ。

Pink FloydWish You were Here(1975)
【炎(あなたがここにいてほしい)】
01 Shine on You Crazy Diamond Part1.2.3.4.5/狂ったダイアモンド(第一部)
02 Welcome to the Machine/ようこそマシーンへ
03 Have a Cigar/葉巻はいかが
04 Wish You were Here/あなたがここにいてほしい
05 Shine on You Crazy Diamond Part6.7.8.9/狂ったダイアモンド(第ニ部)
 邦題こそ「炎」だが、このアルバムはジャケット表が炎、裏が砂漠、オリジナルスリーブ両面に水と風をモチーフにした写真が載せられている。すなわち四代元素としての火・水・風・土である。それがアルバムの曲にどう絡んでくるのかはまったくの謎であるが。それはともかくPink Floydの最高傑作。Shine on You Crazy Diamondにおける鬼気迫るギターソロ、Have a Cigarでボーカルを取るゲスト、Roy Harperの、その口の形がありありと思い浮かべられる粘る歌いっぷり、そしてその曲はラストでラジオの曲へ収束し、チューニングを変える効果音の後、流れ出すエレクトリック・ギターのアルペジオ、それに合わせてラジオの前で引かれるアコースティック・ギター、やがて歌い出されるWish You were Here、さらにその曲が風にかき消されて再開されるShine on You Crazy Diamond。加齢という形の、成功という形の、狂気という形の、多様な形の人間疎外。

Pink FloydA Momentary Lapse of Reason(1987)
【鬱】
01.Signs of Life/生命の動向
02.Learning to Fly/幻の翼
03.The Dogs of War/戦争の犬たち
04.One Slip/理性喪失
05.On the Turning Away/現実との差異
06.Yet Another Movie/空虚なスクリーン
06.Round and Round/輪転
07.A New Machine Part1
08.Terminal Frost/末梢神経の凍結
09.A New Machine Part2
10.Sorrow/時のない世界
 Roger Waters(B,Vo)を失ったPink Floyd初のアルバムは、David Gilmour(G,Vo)主導で制作された。前作"The Wall"は、メッセージ色こそ強かったものの、曲自体に魅力のあるものは少なかった上に、そういう批評もあまり聞かないのだが、そのメッセージ性もそれほど大したものではなかった。それに比べればこのアルバムは、全体にすっきりとしていて空間の広がりがあり、 Gilmourのギターの響きが心地良い。もともとPink Floydは、リバーヴやエコーの使い方に長けていたのであり、それがここでは遺憾なく発揮されていると言えるだろう。また、Tony Levinがベース・ギターとスティックで参加しているのも見逃せない。どこかカントリー・ミュージックの香りを漂わせた曲調に、虚空に向かって叫ぶような泣きのギター。孤独とディス・コミュニケーション。

Pink FloydP・U・L・S・E(2005)
[P・U・L・S・E ONE]
01.Shine on You Crazy Diamond(concert version)
02.Leaning to Fly
03.High Hopes
04.Take It back
05.Coming back to Life
06.Sorrow
07.Keep Talking
08.Another Brick in the Wall(part 2)
09.One of These Days

[P・U・L・S・E TOW]
10.Speak to Me
11.Breate in the Air
12.On the Run
13.Time
14.The Great Gig in the Sky
15.Money
16.Us and Them
17.Any Colour You Like
18.Brain Damage
19.Eclipse
20.Wish You were Here
21.Comfortably Numb
22.Run Like Hell
 1994年ロンドンでのコンサートを収録した二枚組ライブDVD。もともとはVHSで発売されていたものの再発版。末期のFloydのライブがいかに大規模かつ華麗なものであるかがよく分かる。特筆すべきは“The Darkside of the Moon”が完全再現されていること。しかもステージ上のスクリーンにヒプノシスによる映像がシンクロして映し出される2時間25分にも及ぶ贅沢すぎるライブ。これより先にやはりVHSで発表されていたライブ“Delicate Sound of Thunder”の再発も望みたいところ。


The Police

The PoliceEvery Breath You Take -The Singles-(1986)
【ポリス・ザ・シングルズ〜見つめていたい】
01 Roxanne
02 Can't Stand Losing You
03 Message in a Bottle/孤独のメッセージ
04 Walking on the Moon
05 Don't Stand So Close to Me '86/高校教師(ニュー・ヴァージョン)
06 De Do Do Do,De Da Da Da/ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ
07 Every Little Thing She Does is Magic/マジック
08 Invisible Sun
09 Spirits in the Material World/マテリアル・ワールド
10 Every Breath You Take/見つめていたい
11 King of Pain
12 Wrapped around Your Finger/アラウンド・ユア・フィンガー
 レゲエをロック・ミュージックに取り入れ、取り入れただけではなく見事に消化して自家薬籠中のものとした唯一にして無二のバンド、The Policeのシングル・コレクション。おそらく最も有名なのは、ストーカーの想いを歌ったのだが、そうとは認識されていないある意味で不幸な曲、Every Breath You Takeだろう。バンド自体は5年間で5枚のアルバムを残しただけではあるが、そのどれもが傑作と呼ぶにふさわしい作品ばかりである。ベースとギター、そしてドラムという非常にシンプルな構成、加えて一般的にはメロディを奏でるはずのギターまでもがリズムを刻むという方式によってそこに独特の「空間」が拓かれていく。ボーカル兼ベーシストのStingは、決して歌が巧いとは言えないし、歌詞も(Message in a Bottleを除いては)平凡極まりない。しかし、作曲の才能は抜群であり、それがあの独特の声によく合っていると言えるだろう。しかし、何と言ってもThe Policeの音を決定づけていたのは、少し走り気味になってはつんのめるような足技にせわしない両手を組み合わせたStewart Copelandのドラムスに尽きる。

The PoliceMessage in a Box(1993)
【Disc1】
01.Fall Out
02.Nothing Achieving
03.Dead End Job
04.Next to You
05.So Lonely
06.Roxanne
07.Hole in My Life
08.Peanuts
09.Can't Stand Losing You
10.Truth Hits Everybody
11.Born in the 50's/俺たちの世界
12.Be My Girl-Sally/サリーは恋人
13.Masoko Tanga
14.Landlord(Live)
15.Next to You(Live)
16.Landlord
17.Message in a Bottle/孤独のメッセージ
18.Regatta de Blanc/白いレガッタ
19.It's Alright for You
20.Bring on the Night
21.Deathwish/死の誘惑


【Disc2】
01.Walking on the Moon
02.On any Other Day
03.The Bed's too Big without You/ひとりぼっちの夜
04.Contact
05.Does Everyone Stare
06.No Time This Time

07.Visions of the Night
08.The Bed's too Big without You(Mono)/ひとりぼっちの夜
09.Truth Hits Everybody(Live)
10.Friends
11.Don't Stand So Close to Me/高校教師
12.Driven to Tears/世界は悲しすぎる
13.When the World is Running down, You Make the Best of What's Still around/君がなすべきこと
14.Canary in the Coalmine/カナリアの悲劇
15.Voices inside My Head/果てなき妄想
16.Bombs away
17.De Do Do Do, De Da Da Da
18.Behind My Camel
19.Man in a Suitcase/スーツケースの流れ者
20.Shadows in the Rain
21.The Other Way of Stopping/もう一つの終止符


【Disc3】
01.A Sermon
02.Driven to Tears(Live)/世界は悲しすぎる
03.Shambelle
04.Spirits in the Material World
05.Every Little Thing She Does is Magic
06.Invisible Sun
07.Hungry for You(J'aurais Toujours Faim de Toi)
08.Demolition Man/破壊者
09.Too Much Information
10.Rehumanize Yourself
11.One World(Not Three)
12.Omegaman
13.Secret Journey
14.Darkness/暗黒の世界

15.Flexible Strategies
16.Low Life
17.How Stupid Mr Bates/ベイツ氏はお人好し
18.A Kind of Loving

【Disc4】
01.Synchronicity I
02.Walking in Your Footsteps
03.O My God
04.Mother
05.Miss Gradenko
06.Synchronicity II
07.Every Breath You Take/見つめていたい
08.King of Pain
09.Wrapped around Your Finger
10.Tea in the Sahara/サハラ砂漠でお茶を
11.Murder by Numbers

12.Man in a Suitcase(Live)/スーツケースの流れ者
13.Someone to Talk to
14.Message in a Bottle(Live)
15.I Burn for You/君に夢中
16.Once upon a Daydream
17.Tea in the Sahara/サハラ砂漠でお茶を
18.Don't Stand So Close to Me '86/高校教師'86
 The Policeの5枚の公式アルバムすべてに加えて、シングル曲やライブなどのアルバム未収録曲をも4枚のCDにぎっしりと詰め込んだボックスセット。このボックスさえあれば彼らの個々のアルバムは必要ない。ちなみに1-05.So Lonelyから1-13.Masoko Tangaまでが1st“Outlandos D'Amour,1978”1-17.Message in a Bottleから2-06.No Time This Timeまでが2nd“Regatta de Blanc,1979”2-11.Don't Stand So Close to Meから2-21.The Other Way of Stoppingまでが3rd“Zenyatta Mondatta,1980”3-04.Spirits in the Material Worldから3-14.Darknessまでが4th“Ghost in the Machine,1981”4-01.Synchronicity Iから4-11.Murder by Numbersまでが5th“Synchronicity,1983”という構成になる。通して聴いてみて思うのは、アルバムごとにスタイルを変えてきたのがこのバンドのアイデンティティであった、ということだ。つまりはアイデンティティの不在である。また、脂の乗った後期の作品よりも、荒削りだが鬼気迫る初期の作品の方に名曲が多い、とも言える。特にSo LonelyRoxanneBring on the NightThe Policeのベスト3。


Premiata Forneria Marconi

Premiata Forneria MarconiPFM pieces from manticore(2000)
01.River of Life/人生は川のようなもの
02.The World Become the World/甦る世界
03.Four Holes in the Ground(live)/原始への回帰
04.From Under
05.Peninsula
06.Out of the Roundabout
07.Just Look away/通りすぎる人々
08.Cerco la Lingua/言葉を捜して
09.Photos of Ghosts/幻の映像
10.Is My Face on Starlight/困惑
11.Celebration including“The World Become the World”(live)
12.The Mountain
Premiata Froneria Marconi、このイタリア語を翻訳すれば「受賞したマルコーニのパン屋さん」とでもなるだろうか。一説によればメンバーが集まっていた場所の近所にこのパン屋があり、安直にもそれをバンド名にしたらしい。略称PFM。この作品は、イタリアを代表するプログレッシブ・バンドのマンティコアレーベル時代のベストアルバム。どの曲も曲調やリズムが目まぐるしく変わるのが特徴だが、陽気な曲はあくまでも陽気に、一方陰気な曲の湿り方もしっとりとして温かい。


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